首輪堂ハフマンは、「犬好きの、犬好きによる、犬好きのための」 犬 首輪 リードの専門メーカーです (
HOME > 会社概要 > 4.縫い目を作る


縫い目を作る
私は若い頃から今日までの25年間(今更ながらびっくりです!)、アパレル業界で使う機械の販売、メンテナンスやミシンの修理や改造の仕事をしてきました。

その中で、ミシンの修理や改造、メンテナンスの仕事には大きく分けて2つの仕事があります。

1.そのミシンなりに、きちんと縫えるようにすること。
2.縫われる素材、出来上がる商品にふさわしい綺麗な縫い目を作ること。

この、商品にふさわしい綺麗な縫い目を作るという作業(調整)が実に奥が深く、ここでは、いままで経験してきたお話をいくつかご紹介します。

このトートバッグは皆さんもご存じの吉○カバンの○ーターです。

縫い目の縫いシワが独特の良い風合いを醸し出していることが大きな特徴です。この微妙に良い感じの縫いジワを作る為に私が出来ることは、職人さんが思った通りの縫いジワが安定して出るようにミシンの調節をすることに尽きます。職人さんは、このように調節されたミシンを使って作業をしていきますが、当然のように、職人さんなりの「手加減(技術)」によって、商品の出来具合が違ってきます。
完全にシワがなく縫い上げることは、実際の所、不可能に近いくらい大変難しい事なのですが、それでも作業をしていく上で、「シワのない綺麗な縫い目を作る」ということは、作業目的としては、非常にわかりやすく簡単なことです。

「綺麗に縫いましょう」
「綺麗に縫い上がりました〜〜っ。」
「でもこのくらいはしようがないです」
「そうだね!」という事で、モノ作りが、作り手の都合で終わってしまいます。

問題は、出来上がったバッグが、お客様にどう響くかだということです。
精一杯、綺麗に縫うことだけを考えて作られたバッグは表情がないのかも知れません。
ましてや、ディスカウンターに並んでいる安価なトートバックは、妙に綺麗だったりします。

お客様が実際にバックを選ぶ際に、このように具体的な理由は思い浮かばないのかも知れません。
しかし、なんとなく伝わってくる作り手の思いには、非常に敏感に感じるのだと思います。

モノ作りのこだわりなどと、通販番組などで耳にする度に、
モノ作りを言葉で簡単に表現する事自体、間違っている!!などと、ひとり夜中に興奮していますっ!
(話が思わず脱線してしまいました!!)

そうそう、シワのお話でした。
このメーカーさんが、そもそもどうしてバックにこういう表現をするかということを言いたいんです。
シワを作ることによって、使い込んでいくうちに、凹凸がはっきりとしてくるとか、商品に微妙な丸みを持たせたい・・・・などなど、あくまで想像ですが、お客様に提供したいイメージが主観的にはっきりとしていて、
そのために、出来上がったときに目に見えるところ、見えないところまでに、惜しみもなく技術を注いでいるのだと思います。きっと、素材ごとにシワの加減を変えたりもしていると思います。

※惜しみもなく技術・・・・
生地って、縦方向が伸びずに、シワが出来にくく、横、斜め方向は、シワが作りやすい傾向があります。
ちょうどいい加減のシワって、作っているひとが皆何となくわかっていて、「これはOK、これはちょっと・・」というような、暗黙の了解の中できっと作っているはずで、だから、適当に縫っているようで、じつは凄く計算された設計と技術がつまっているんですね!


ここまで徹底して、品質にこだわり、生産をコントロールしているメーカーさんって、世界中でも一握りのような気がします。使っている素材も良く、縫いもきれいなんだけれど、ピリッとくる他と違う何かが足りない商品って皆さんの回りにも沢山ありませんか?ちょうど、国産車は性能はいいけれど、趣味性がちょっと・・・という話と似ています。

お客様に訴えかける商品って、こういうことかな〜などと思っています。
 
 縫えば縫うほど、ダメになる商品?!
私は、縫うということは、裏方の仕事だと思っています。
手間ひまをかけて、丁寧に一生懸命つくる事も大事なことですが、それだけで、良い商品が出来る訳ではありません。
理屈にあった良い素材と、計算された設計、確かな技術があって、初めてお客様の心に響く商品ができると思っています。

職人、技術者って、とかく、自分の持っている技術を使いたい、見せたい、わかってもらいたいと思うものです。(言い切ってしまって済みません ・・・ 。)
本当は、沢山の技術の引き出しの中から、少しだけ控えめに、見えない所に使った方が良いです。使わなかった技術が多いほど、出来上がった商品は、良くなります。
良いデザインは概ねシンプルである、simple is Best、機能美って、こういう事を言っているのかな〜などと思います。
手間ひまをかければかけただけ、良くなる訳ではないんですね!
 高い洋服ほど、縫っていない?!
レディスとメンズのスーツの作り方で、同じようにおもしろい事があります。レディスとメンズのスーツの作り方を比べると、メンズスーツの方が遙かに手をかけて作っています。(1着の作業時間で比べると、約2倍ほどになります)
メンズスーツは型崩れしないようになど、理由は沢山あるのですが、着心地から言うと、レディスの方が優れています。何故かというと、沢山縫っていない、ルーズに縫っているからなんです。
2枚以上の素材を縫い合わせること洋服を作る上で必要なことなのですが、
一方で、素材の伸びや動きが止まってしまうことにもなります。逆にメンズスーツは、意識的にこの動きを止めてカチッとした作りをしています。
この点がアルマーニなどに代表されるヨーロッパのブランドの洋服は、メンズ、レディスを問わずに作る考え方から違っています。
先ほどのレディスのスーツ以上に、縫っていないんです。

その他、たとえば、左右の袖の長さが違っていたり、縫い目も決して綺麗とは言えません!!。(業界の方々、ごめんなさい!)
売場でも、国内のメーカーさんは絶対に許されないこのようなことが、「アルマーニだから・・・」で済んでしまっていたりします。
ヨーロッパブランドの洋服は、メンズ、レディスに問わず ・・・
セカンドスキン=洋服は第二の肌 という考え方で作っています。

そのために、縫う必要がある部分には、出来るだけ着た時に体の動きを止めてしまわないように、ルーズに柔らかく縫っています。
縫っていない、手間がかかっていないのに、どうして値段が高いの?って、
思いませんか?
実は、縫っていないけれど、ものすごく手間がかかっているんです。
沢山ありすぎて、ここでは全てお話をすることは出来ませんが、いくつかご紹介します。

肩のパッドの付け方なのですが、業界の人は卒倒してしまいそうなくらい、きちんとした位置に止めてないんです。
止めてあると言うよりも、動かす為にその位置にあるという感じです。
着て疲れる洋服って、肩が凝ったりします。
このようなパッドの付け方だと、ちょうど肩と洋服の間で滑るような動きをさせるために、肩パッドの作り方に凄く時間をかけて、計算された付け方をしています。
襟(えり)や袖の作り方も時間をかけているんですよ。
洋服をつくるときには、順番があって、最初は、襟(えり)や袖、胴体の部分(見頃と言います)を別々に作っておきます。
普通は、各パーツが出来上がったら、すぐに組み立てを始めるのですが、ヨーロッパブランドの洋服は、違うんです。出来上がった襟(えり)や袖を、洋服が仕上がった状態に見立てて、アイロンをかけ、洋服に付いた時の状態のままで、一晩、作業台の上で保管(寝かせると言います)して、その形をなじませます。
全部の部品の、形のひずみがとれたら、ここで初めて各部品を(ルーズに!!)縫い付けます。
国内のあるアパレルメーカーの生産担当の方と話をしていたときの事です。
工場さんと綿密に打ち合わせをして、全てに納得をして、ショップに並べた服があまり売れなくて、コミニュケーション不足を承知で海外で作った洋服(なんと左右の袖が逆に着いていたとのこと)が売れてしまったとの事。「果たして自分たちの仕事ってなんだろう」 という言葉が印象的でした。